8月の夏休み明けて9月に語学学校に戻ったら、約一年教えてもらった先生が退職していた。
基本的にこの語学学校では、校長的な役割を担っている年配の女性と、その部下と言う形で30歳くらいの男性教師がいて、入学金の支払いの関わる滞在許可証の更新は校長がやり、実際の授業は彼がやっているように見えた。
なのでてっきり2年目の今回も彼が教えてくれるものとばかり思っていたら、
「彼は辞めて、9月から別の仕事してるわよ。」
と校長は言った。
まあ、どうみても生徒数が増えてるようにも見えなかったし、入学する生徒も真面目に語学を学びに来ているのは一握りで、授業にほぼ来ない生徒もいたように見える。
辞めた先生が教えること自体を好きだったかはわからないけれど、とにもかくにも生徒もそんなんでやりがいも無かったと思うので、この学校で働いていることが幸せそうにも見えなかった。
思い返すと、いつもTシャツにジーンズの彼が白いシャツとスラックス、髪型もばっちりきめてきた時が一度だけあって、そのときは「暑くなるとこういう恰好するんだよ~わっはっは」って適当に言ってたけど、今思えば転職活動をしていたのだろうな。
イタリアの若者の失業率はものすごく高い。なぜなら、経験のある年配の人が昔のやり方でずっと居座っているので、若者の入る場所が無いのだ。
なので、友達や家族と食事をしているときは幸せそうにみえるけど、それは、それ以外の生活に対して不満があるゆえの反動ではないかと思ったりもして、彼もそんな若者の一人に思えた。
彼は歴史好きで、雑談の中でけっこう色んな豆意識を教えてもらったりしていたので、もう会えないのかと思うと、ちょっと寂しい。
かといって個別に連絡を取り合いたいかと言うと、そういうわけでもないので、
ま、彼の人生が少しでも豊かになりますように。
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